西野監督退任に関して

色々言われていたが、私自身は退任については前向きに取ろうと考えている。昨年・今年と2季連続で無冠。世代交代も橋本→武井のみで、2年前の契約延長時に課された課題はほとんどクリアできていない。
最も、西野さんの若手育成方針*1は非常に理解できるし、今年はここ数年で最もリーグ優勝に近づいた年だった*2し、去年で言えば平井・(もういないけど)宇佐美、今年で言えば藤春・川西と面白い若手も結果を出しているゆえ、個人的にはもう2年くらいはチャンスを与えても良かった気はするが。まぁ前述の課題が解決されてないので、ここで一区切りという結論には一定の理解は示したい。
ただ後任がワグネル・ロペス。縁も所縁もない未知数監督となると話は別である。
まだまだハタチのJリーグ、OBもフランスW杯世代がやっと監督業を始めた*3ばかりで、経験があるのはドーハ世代*4まで戻る。さらにJ自体もこの20年で変化は著しい。6年前までは3バックが全盛だったことからも、それはわかるだろう。JのOB監督の起用にはまだ、どうしてもリスクが伴う。
それでも彼らが監督に起用されている訳だが、皆所属クラブのレジェンドだったり、下位に沈むチームがテコ入れのために起用したりする例*5ばかりである。上位チームが起用した例はない。
唯一名古屋は中位に漂うチームを一段上のステップに上げるためのテコ入れとしてピクシーを招聘し、成功を収めているが、強化のスペシャリスト・久米GMが脇を固める万全の体勢。「ミスター」はクラブのレジェンド中のレジェンドということもあり、カリスマ性はたっぷり。サポーターとしても多少は我慢するつもりだったところ、初年度からタイトル争いに絡み、ACL出場権を獲得、現在に至る。
対してガンバはどうか。呂比須はガンバと何の縁も無いし、クラブの指導歴も浅い。強化部長は怪しい動きを見せる出向社員(ここが大問題)で、しかも核となっていたベテラン選手の放出まで同時に行ってしまった。
賭けも当たれば全てオッケーなこの世界ではあるが、ボトムアップの進むJで常に優勝争いに絡み続けているチームで行う賭けにしては、リスクが高すぎたのも事実である。西野時代より上に行くために、西野以下だとはっきりわかっている監督をわざわざ起用し、経験を積む場を与えてあげる理由が全く見えない。サポだって「呂比須を男にしよう!」などは決して思わないし、思えないのである。非常に不透明な人事であると言えよう。

ここまでが昨年の12月中頃に書いた文である。その後山本氏が自信たっぷりに連れてきた呂比須氏のライセンス問題が発覚し、それでも「なぜか」呂比須氏にこだわる山本氏は師匠であるセホーン氏を連れてきた。
これがまた凄い経歴の持ち主で、32年の監督歴の中で指導したチームが約30。ほとんど1年で解任されてきているのだ。
最も、ブラジルは監督交代は頻繁なうえ、州選手権と全国選手権が同一年内に開催される等、世界でも珍しいリーグ体系のため一概に論ずることはできないが、同世代で去年柏を奇跡の優勝に導いた名将ネルシーニョと比較すると良くわかる。ネルシーニョも約20のクラブで指導歴があるが、近年もサントスやフラメンゴコリンチャンス(ついでに名古屋)等、「我々も聞いたことのある」クラブから呼ばれている。一方のセホーン氏はせいぜいグアラニFC*6で、後は水原三星の「コーチ」であったり、コリンチャンスの「ユース監督」が目を引くくらいである。要はブラジル国内でも指導者としては疑問符がつく人物なのだ。
経歴を見ても「呂比須ありき」なのは疑いようがない事実である。

しかしガンバの選手に罪はないし、せっかく来てくれたのだからと様子を見ていたのだが、この体たらくである。
明日は何がここまでガンバを変えてしまったのかについてまとめたい。

*1:詳しくは後述

*2:06以来。勝ち点70はガンバの歴代最多

*3:相馬、秋田、そして呂比須

*4:ラモス、柱谷、都並、高木、長谷川健太。三浦泰…はまだ1年か

*5:監督を解任した後の就任等

*6:セレッソ監督のクルピや元鹿島監督のトニーニョ・セレーゾが監督を務めたことがある