ベラルーシ戦まとめ

途中から出てきた選手も多いので、採点ではなく寸評を。

関塚隆監督
狙いのハッキリしたテストマッチであった。本大会では交代数に制限があるゆえに勝ちはあくまでもオマケだが、壮行試合で足元を掬われたチームにとっては大きな自信になることは間違いない。
おそらく次のメキシコ戦がスペインを想定した試合になるだろう。スタイルも近い*1相手である。ハナからスペイン戦を捨てずに戦うつもりでないとこのマッチメイクにはならないだろうし、その姿勢は評価したい。結果はともかく。
OAについては後で。

権田修一
安定したプレーを見せる。今日の試合では何の問題もない。
相手のプレスに押されて苦し紛れにバックパスが来る場面も何度かあったが、危なげない処理を見せた。

これからの成長課題としてはキックの質だろうか。今日出た林のみならず、飯倉や西川と、日本人GKのキックの質もここ5年でまた変わってきた。東口と菅野も時折良いものを見せるしね。高めていけばさらに上を狙えるだろう。

酒井宏樹
守備では高さが効いた。サイドバックがヘッドで競れるのは本当に楽。
攻撃では高い相手にグラウンダーで狙っていたが、去年のマリノス戦で北嶋に合わせたクロスに度肝を抜かれた私としては、ピンポイントで落とすこともできると思うので、狙っても良かったかと。
良い飛び道具を持っているのは間違いないので、中とのタイミングを擦り合わせていけば。

吉田麻也
圧巻。こうもチームが変わるのかというくらいの安定感を見せた。
カバーだけでなく、時折アタックも見せており、格の違いを見せた。就活も兼ねていると思われる(だからVVVも出したんだろうな)ので、がんばってもらいましょう

酒井高徳
宏樹の方が高い位置を取っていたために持ち味の攻め上がりは自重していたが、後半大岩に代わってからはガンガン仕掛けていた。徳永をどちらで使うか次第だが、出番は間違いなくあるだろう。

鈴木大輔
吉田との初コンビ。カウンターを喰らう場面では相手に行く行かないの判断が怪しい場面もあったが、マヤの操縦もあり、破綻は来していなかったように思う。シュートまで行かれた場面はパスミスをした清武が悪い。
課題は繋ぎ。トラップの置く場所で流れを止めてしまったり、プレッシャーがかかる場面でもたついたりと、拙さが目立った。

扇原貴宏
どうしちゃったの1人め。
元々彼のゲームメイキングには課題があり、右なら右、左なら左にしかパスを出せない(出さない?)という難がある。遠藤を比較に出すのは酷だが、彼がよくやる「左から右…じゃなくて本当はまた左だよ〜」みたいな作り方がないと一本調子になってしまう。最も今日の試合でもそうであったように、彼の判断に任せるのではなく、チームとしてプランが定まっているなら問題はないが。
気になるのはそこではない。本来彼の長いボールの質は高い。最終予選のアウェイシリア戦で途中交代から見せたプレーに象徴されるように、大きな展開は十分できる力を持っている。関塚監督のチームでは長いボールを蹴れる選手が鍵を握っている。それは川崎フロンターレに日本一質の高いロングボールを蹴る中村憲剛*2がいたことからも明らかだ。
しかしこの試合…に限らずニュージー戦でも、そこの精度に物足りなさを感じる。トゥーロンではかなり頑張っていたこともあり、ここから調子を上げていってもらいたい選手の1人だ。

永井謙佑
相手に引かれてスペースが無くなったあとにどうするかが今後の課題だろう。徐々にドリブルで突っ掛けられるようにはなってきたが、細かなパス交換や動き直しの質が今一つだった。
最も、本大会ではベラルーシのようなチームばかりではないので、必ず生きる場面は来るだろう。

宇佐美貴史
狭い所でもボールを失わないキープ力や、キーパーがキャッチできないくらいの質のシュートを枠に飛ばす力はこの世代でも抜けている。
ただ仕掛ける場面よりも周りを使う場面が多かったのは残念。西野監督だったら渇が入ってそうな気がする。
チームとしてのタスクなら一考は必要だが。
しかし彼がキッカーやってるのはU―17以来久々に見たな。ガンバでは遠藤、二川、佐々木の次だったから…。

山口螢
元々繋ぎというよりは潰し屋としての動きが持ち味のボランチだが、今日の試合では被カウンター時のポジショニングがイマイチ。奪われ方が悪いカウンターが多かったのも確かだが、多少不利な場面でもしばしば止めてきただけに、少々物足りなさを感じた。彼の所で網をかけられると楽なのだが。

清武弘嗣
どうしちゃったの2人め。
既に何度か触れているように、彼の持ち味は第3の動きだ。足元の技術やキックの質、フィジカルの高さを備えていながら、質の高い動きもできるのが持ち味であって、チャンスメーカーやアタッカーとしては、宇佐美や齋藤と比べた時にむしろ一枚落ちるというのが私の評価だ。
それなのに本来完成されているはずの短いパスが引っ掛かったり繋ぎがスムーズでなかったりと、らしくないプレーが多かっただけに、次に期待したい。

大津祐樹
永井と同じで、スペースが無いときのプレーの幅に課題が見られた。受ける→はたく→上がるという意図は感じるが、常に動きながらのプレーで精度を欠き、密集地で体を張らざるを得なくなってしまった。こうなると彼の持ち味は出しにくい。
最も、今日の試合なら大迫や原口でも同じであっただろうが。

東慶悟
動きの質は良い。本当に高い。彼がいるとボールが回る。ザ・リンクマン。
が、決定的な仕事ができない。ラストパスもシュートも本当に惜しい。ザ・リンクマン。
ただ、清武の状態次第では、彼が命運を握ることになる。

米本拓司
全盛期の明神のような猟犬っぷりが光るクラッシャーで、繋ぎも悪くないだけに怪我がなければ…。
あの前に出てガシガシ行く守備は見ていて気持ちよくもある。

徳永悠平
ものすごく無難にこなしていた。さすがの一言。本番はどっちでもしっかりこなすだろう。

山村和也
前半に比べ相手の運動量が落ちていたとはいえ、安定したゲームメイキング。鹿島に行くと本当にサッカーを知ることができるのかも知れない。半年前とは違う選手に見える。

齋藤学
カモメッシ。今日みたいに相手が引いてくる場面では有効。

杉本健勇
アジア大会で永井が出ていた頃、彼の下の名前を私は「けんゆう(謙佑)」と呼んでいた。他ならぬこの選手のせいである。
コメントにも書いたが、縦に行けるポストは貴重。指宿は開いて受ける、相手を横に広げるタイプだったが、杉本は縦に引っ張れるタイプだ。
2列目の連動性を活かすなら後者の方が良い訳で、関塚監督はそこまで見ていたのだろう。

あ、もちろんナイスゴール。

山崎亮平村松大輔は特になし。


・まとめ
宇佐美・ゴートクを除く選手は移動もあり、コンディションが整っていない面もあっただろうが、中でもセレッソ組が際立って不調なのが気になる。
チームも残留争いに片足を突っ込んでいる*3点を見ても、何か乗れてない理由があるのかも知れない。ウチみたいなキャンプ失敗ってこたぁないだろうが。
奮起を祈りたい。

また、今大会はOAの2人が本当に頼もしい。今までの大会と比較してもかなり有効に使えている。ウチがここまで酷くなかったら遠藤も行ってたのかな…。見たかったような…。
まぁこのメンバーでメダルを目指して頑張ってもらいましょう!!


追記。
少々表現・繋がりがおかしかった部分を修正しました。(7月22日)

*1:はず。アンダーはわからんし、今のメキシコフル代表もわからんけど

*2:精度だけなら俊さんの方が上だろうが、速さも加味すると憲剛に軍配が上がると個人的には思う。

*3:この3人に茂庭とジンヒョンとボギョンがいるのに