ガッちゃんとピルロ

05-06のCLでバルサが勝利し、06-07のシーズンが始まってからと言うもの、欧州サッカーはイタリアの話題に事欠かなかった1年となりました。

のっけから八百長問題でユーベが降格。インテルを除くビッグクラブは軒並み勝ち点剥奪。そんなカルチョ界の暗いイメージを吹き飛ばしたのが、ワールドカップでのイタリアの優勝でした。


今日はその優勝に貢献した二人を取り上げたいと思います。


芝を喰い、ブリーフで走る男は、ピッチを鬼のように走り回り、カンナバーロにもたれながらPKを見つめた犬顔の男は、派手ではないものの柔らかいタッチでボールを散らしました。


早朝に行われたCL決勝でも、ミランの一員としてその持てる能力を存分に発揮していたように思います。



さて、この二人。私は勝手に日本サッカー。というかオシムジャパンが目指すサッカーにはこの二人のような人材が不可欠だと思っています。


二人に触れながらCL決勝を振り返ってみましょう。



ガッちゃんは言うまでもないですかね。とにかく走ります。攻撃にはちらちら顔を出し、ボールを奪われても常に2対1、3対2の状況をつくり、相手の左サイドを活かさない。オッドと二人でゼンデン、リーセといった所を自由にさせませんでした。


その結果リバプールは右を使うことが多くなり、ペナントにボールを集めるんだけどそのペナントが持ちすぎて、結局中で弾き返される。そんなシーンが多かったように思います。


そこで後半ベニテスはゼンデンに代えてQLを入れ、左サイドの活性化と、制空権の掌握を狙います。これがある程度効くんですが、ある程度でしかなく、左を崩すまでには至りません。


次に中盤を一枚減らし、クラウチを入れるワケです。このクラウチは効きます。ヘディングが下手だとか言われてますがそこは2m。見てるだけでも疲れます。


ところがそれまで中盤でカカを良く抑えてたマスチェラーノがいなくなってしまったものですから、当然カカが動けるようになってしまう。


そしてピッポの二点目が決まってしまうワケです。


個人的にはベラミーを上手く使えばリバプールは勝てるとすら思っていた(っていうかベラミー来たらヤだなと。ミラン寄りで見てましたから)だけに、これはもったいなかったように思えます。


あ、肝心のワンちゃんに触れてないヾ(o゚ω゚o)ノ゙


お犬様、ピルロです。


彼は勘違いされやすいんですが、その実結構走ってます。前線の三人に敵陣でパスを出し、ボール奪われたら自陣に戻る。

今のミランの4-3-3(4-5-1)を支えてると言ってもいいくらいです。


アンブロジーニやガッちゃんとポジション変えながら動いたり、もちろん置いたボールを蹴るのは上手。


やはり彼の存在は大きいと思います。



さて、お分かりでしょうか。僕は加地さんにガッちゃんを見ます。


ポジションこそ違え、攻守にわたり常に数的有利を作り出し、そのために走り回る、そのプレイスタイルは通ずる所があるのではないでしょうか。


ただピルロを見ることができる選手がいないんですよね…。(ピッポならまんま佐藤寿人なんですが)ただレジスタってだけではダメです。


一時期遠藤に期待してましたが、最近のポジションは前め。けーたさんは足元下手っぴだし、今野はのも何か違う。


そうなると阿部なんでしょうか。それも何か違う気はしますが。



とりあえず、攻守において走り回る人がいるから、カカみたいな選手が輝ける。これは言えると思います。そしてこういった選手がいるチームは強いということも。


ジーコジャパンの時はみんながカカになろうとして崩された(特にオーストラリア戦)という一面があっただけに、オシムの言う「水を運ぶ選手」や「多様性」という言葉はなるほどなぁと思ってしまうワケです。


あ、それとオシムはきっとカカみたいな選手は嫌いじゃないと思います。


規律を守ることをやたらと重視してるみたいに思われがちですが、もしそうなら何で闘莉王使うの。


個の力が無ければ勝つことは無理なワケで、いくらチーム全体で無駄なく動いても、一人の選手にやられてしまうことだってある。


けれどもチームで何人もの選手が個の力を輝かすことはできないし、みんながみんな輝かそうとしてしまうと崩壊してしまうから、今は誰か一人を輝かすためにはどうするのかをチームとして考えてるのでは?




当たり前のことを当たり前にやる難しさ。


アジアカップで代表はどのような答えを見せてくれるのでしょうか。