メキシコ戦

素晴らしい試合を見せてくれた。これが本大会であればどんなによかったかという話だが、そこに向けて良い流れができあがったのは間違いない。
本大会は結果が全てである以上、「例え試合を支配されても勝つ」テストが成功したのは大きい。これはJで唯一3連覇を成し遂げている鹿島のサッカーにも通じる所がある。*1勝者のメンタリティとでも言うか。内容を求めるのは予選や国内のテストマッチだけで十分だ。*2
そして何よりもタイプの違う、これまでやったことのないような、「本大会に出るレベルのチーム」が相手であったことに意義がある。若い選手達にとっては、時差や気候、ピッチ等の変化に対応し、慣れないイギリスの地で2試合勝ち切ったということは、メンタルコントロールという点でも大きな意義があった。
これで日本は最高の状態で初戦のスペイン戦を迎えることができると言えよう。
では採点。

7.0:関塚隆監督
前半機能していない部分を後半ある程度修正した。交代選手の2人で得点を取る等、采配も冴えた。
先に述べたように状態は最高なので、あとは監督のさじ加減1つ。この大会で結果を残せば、岡田・西野に並ぶ名将の仲間入りを果たすだろう。
そしてガンバを共に立て直してくれ(笑)

6.0:権田修一
失点シーンは左右どちらにもコースがあったので仕方ない面がある。あの速度であそこに飛ばされたら世界レベルのキーパーでない限りは厳しい。
飛び出しからピンチを招いた場面もあったが、試合を通じてに「キーパーにしてほしいこと」はできていた。
キックについては今さら言わない。

6.5:徳永悠平
本当に安定している。カバーリング、1対1の対応、組み立てでミスらしいミスが無かった。
右SBが酒井ではある以上、バランスが取れる彼が左にいるのは安心感が違う。
「右が詰まり気味だから左からの攻撃も欲しいな」というタイミングでの攻め上がりがもっと増えてくると申し分ない。

7.0:酒井宏樹
このチームではなかなかクロスが結果に結び付かないが、縦への迫力はやはり良い。
持ち味の攻撃参加だけではなく、この試合では守備でも奮闘した。ゴールを決められたファビアンを始めとする相手選手をことごとく吹き飛ばしたり、ハイボールでもほぼ負けなかったりと、非常に精力的に動けている。

このSB2人の評価を見てもわかるように、この試合はサイドから崩されてピンチになるシーンが少なかった。あれだけ攻められたにも関わらず、である。
というかむしろ、あれだけ攻められたのに失点を1で凌げたのは、サイドをあまりやられなかった点が大きい。
真ん中からの攻めは縦を意識すれば良いが、サイド攻撃が絡みだすと左右の意識も必要になるからだ。例えばサイドからクロスが上がり、逆サイドからもう一度折り返すとマークがズレる。*3
メキシコ側の反省点があるとすればそこだろう。この自陣のサイドをどうケアするか、はスペイン*4相手には非常に重要で、彼らは代わる代わるそこに入っては出て行き、仮にチャンスが作れなくてもバイタルにスペースを作ることに成功する。ここがキーであることは間違いない。

6.5:吉田麻也
全体的に安定していた。彼が睨みを効かしている範囲は大丈夫じゃないかな。

6.0:鈴木大輔
攻撃されたと言っても、ピンチは大半がカウンター。ボールを持たれていた中での守備はよくできていたように思う。

5.5:扇原貴宏
やはり調子が上がってこない。短いパスを引っ掻けたり、長い球の精度を欠いたり、失うタイミングも悪い。
山村を軸として置くのは守備面でも不安があり、彼ががんばるしかない。
最も、村松を入れて割りきるというのも策の1つではあるが…。前後は分断するだろうな。

7.0:東慶悟
得点時にあそこに走り込めるのが、彼の最大の武器。あれができればリンクするシャドーとして、大きなプラスをチームにもたらしてくれるだろう。

5.0:宇佐美貴史
西野なら前半途中から代えてるレベル。あ、いや、さすがにそこまではしないか。
関塚監督は試合後に「押し込まれる展開では彼の持ち味が機能しなかった」と庇った。確かにこれまで在籍してきたチームはゲームを支配するチームであることが多く、ボールタッチをしながらリズムを作っていくことができた。この試合で見たように、押し込まれる展開では厳しいのかも知れない。
しかし、それでも「もう少しはできただろう」というのが個人的な感想。ボールを持っても無難な繋ぎに終始。さらにベラルーシ戦よりもロストも目立ち、いったい何してるのアナタ状態。後半頭から齋藤に交代したのは当然であった。失点シーンのカウンターも宇佐美のロストが遠因だったりする。*5
ベラルーシ戦は悪くはなかっただけに、コンディションの問題ではないだろう。奮起に期待したい。

6.0:山口螢
カウンターの起点になりそうな奪取を見せる等、かなり戻ってきた。採点も細かくすれば6.2くらい。
日本チームが引き気味であったため、ケアする範囲が絞られたことも大きかったか。


6.0:清武弘嗣
扇原同様調子が上がってこない。
最近見ていて思ったが、香川・乾・家長・マルチネスらがいなくなり、チームでゲームメイクやチャンスメイクの役割を担うことが多くなったのも遠因かもしれない。
先制点は彼のボール奪取からだったので、結果は残した。

6.0: 永井謙佑
東の得点をアシスト。前からの積極的な守備も好印象。
ボールを自分が持った時が課題だが、この試合は前にスペースがあったこともあり、大きく蹴り出すドリブルでボールを運ぶ等、工夫は見られた。
ゴール前での絡みが出るともっと良くなる。

5.5:齋藤学
宇佐美よりはゲームに入れていたし、持ち味である仕掛けだけでなく、自陣に帰っての守備でも奮闘した。ゴールに向かうプレーを増やしたい。

7.0:大津祐樹
ファインゴールとさすがの演技力。野生児大津。劇団大津。今までの日本代表にはこういうタイプはいなかっただけに見ていて面白い。色んな意味で。
フィジカルコンタクトで負けていなかったことも大きい。体の入れ方は上手かった。
とは言え、真ん中で張ったりするタイプではないので、やはり2列目が生きる。前田(遼一)くらい顔を出せればまた違うが。

6.0:杉本健勇
本来採点できる出場時間ではないが、競り合いが大津の得点につながったので。ここ(上)で主導権を握れるようになるのは大きい。

5.5:山村和也
ボランチで使われるとコンタクトプレーに弱い。やはり360゜を意識しなければならない点でセンターバックとは勝手が違うか。
ボールを持てない展開では厳しい。

酒井高徳
記憶になし。…ごめんね。

しかしスペインってCLでスゴいなって思ったマタがいるのね。こりゃあ楽しみだぞw

*1:内弁慶とか言っちゃダメ!鹿島がACLで勝てない理由は私も全くわからない。

*2:なので、やはりニュージー戦は批判対象になる

*3:ガンバでは西野時代からこれをやられると、大学生相手でも失点する…。

*4:フルの方しかわからんけど

*5:一応誤解の無いよう言っておくけれど、私去年のガンバユニは11番ですからね。