ベネズエラ戦は今年初戦だったこともあり、次の試合を見てからにしようと思っていた中国戦。非常に楽しみなサッカーをしていました・・・中国が。
もちろんまだまだラフプレーは目立つし、ところどころ粗いんですが、日本を良く研究して対策を練ってきた印象です。何人かの選手は非常に良いプレーを見せていたし、何よりチーム内で簡単に蹴らずに繋ぐ意識があったのが良かった。本気になったらそこは人口世界一。2014・2018の予選ではライバルとして立ちふさがる可能性も高いのではないでしょうか。チームもまだまだ若いようですし。眠れる獅子ってヤツですな。

さて、問題はヤポンだ。
ベネズエラ戦は試合開始からしばらくはパスがブレ、重い闘莉王の裏を突かれるなどヒヤヒヤする場面もありましたが、15分過ぎくらいからは落ち着きだし、徐々に主導権を握りかけていたと思います。ケンゴのパスをナイストラップの小笠原などもありましたか。
でもね、以上終了って言っても差し支えないくらいなんです。プレスはいなされる。つないでも真ん中にターゲットがいないため、味方の攻め上がりを待たなくてはならない(結果相手の守備も戻ることになる)…。
これは小笠原を入れたことによる弊害ではないでしょう。俊輔や長谷部がいたとしてもどうだったか。個人的にはオカダジャパンの行き詰まりとすら思えました。

おさらいしておきますがオカダジャパンの攻撃の基本は密集です。人と人との距離を狭くして、全体をコンパクトに保ちながらショートパスをつないで崩しにかかる。
敵陣でボールを奪えればそれにこしたことはないので、高い位置からプレスに行き、ボールを奪って攻撃。その際も、極力選手間の距離は近くに。攻撃する選手は守備に密集している(∵「奪い役」に人数をかけている)ため、カウンターの際には速さ(+切り換えという意味での早さ)が必要になるがゆえに、前線はスピードのある選手でなければならない。
行き詰ったらサイドを代えてもう一度。とにかく人数をかけてボールを運ぶ。

そういえば「接近・連続・展開」なんてスローガンもありましたね。

しかし欠点として攻撃にも守備にも人数をかけ「すぎる」ために、いて欲しいところに いて欲しい人がいない。すなわち、せっかく敵陣でボールを奪っても中や前に誰もいない。近くにいる選手とのワンツー等で抜けようとする間に相手DFが追いついてしまいます。
玉田は突破するタイプのドリブラーではなく、岡崎・大久保はドリブラーですらないため、どうしても1人ではボールを運べません。ですから上手くハマった場合(奪ったボールが相手ゴール方向に転がり、かつ相手のプレッシャーも弱いような状況)でない限り、攻撃に人数を要してしまう。これがなかなかショートカウンターの決まらない理由の1つでしょうか。

また、仮にプレスを突破された場合、中盤がスカスカになってしまうという副作用もあります。これまで(アジア予選等)はプレスの網をくぐられることがそこまで無かったために遠藤・長谷部のボランチでもなんとかなりましたが、本大会で戦う相手はそうはいかない。OGは割と中盤を省略して蹴ってきましたが、ショートパスをつないでくる相手だと、どうしてもボランチの対面守備がカギになってくる。
で、前述の明神はいかが?という話になる訳ですが、稲本がその役割を見事に果たしてくれたのでここはあまり押しません。アンカーとしての目途が立ったことはここ2戦の収穫でしょう。しかしそうすると俊輔・長谷部が戻ってきた時に誰を外すのかという話にもなってしまいます。またいつか触れますが、ここはオカダさんも悩みどこでしょうね。

そして何よりもポゼッションが取れている時にどこから攻めていいかハッキリしないというのが最大の問題点です。「どこからでも攻められる」というのは聞こえが良いですが、ちょっと行き詰ると「どこから攻めていいかわからない」になってしまいます。
パスサッカーをするなら、基本的にポストは必要じゃないかなぁ(バルサですらエトーを出してイブラヒモビッチを獲得しました)
ただ、サンフレッチェ広島のサッカーが良くわかんないんですけども・・・ポストっぽいポストいないですからね。代表が今の方向性で行くなら、参考になる部分は多いような気がします。

話を戻します。ベネ戦は明らかに平山が入る前と後で変わりました。前線にターゲットを置くことで、クロスを入れるタイミングや、岡崎が囮になるなど周りの動きも1つ1つに迷いがなくなります。ただゴールをこじ開けるには至らなかった。

中国戦も基本的には同じです。ただPKを与えた場面は、相手のレベルが上がるとFWがそのまま打って来るでしょうが。

さて、ここまで直近の2戦を振り返りながらオカダジャパンの内包する問題点を指摘してきたワケですが、一番気にかかる点を最後に1つ。


正月休みに滋賀へ行った友人と久々に会いました。すると彼は「遠藤はバランサーやからなぁ」

昨日はサッカーバーで観戦だったのですが、誘った友人に遠藤評を聞くと「やっぱ、冷静にバランスを取って・・・」



ガンバサポから言わせてもらうと、遠藤の最大の持ち味は攻撃です。決して守備は上手くない(ボール取るのは割と上手いんだけど・・・)し、足が速い訳でもない。
いつだったかココでも遠藤に飛び出しの意識が欲しいと書きましたが、最近ではかなりその意識は見えます。もう彼は立派な2列めの選手です。
確かにガンバでもボランチでやる時間はあります。しかしそれはチームが停滞している時に散らすのであったりと、アクセントをつけるためにそこにいることがほとんどです。そして何よりも(正にバランサーである)橋本の存在が大きい。
橋本と攻守に渡るポジションチェンジができるからこそ、ボランチでありながら裏へも飛び出せるし、二列めでありながらボランチの位置から球を捌ける。

0:55からとか、4:50以降の全てとかを見て、この選手がバランサーだと考える人は少ないでしょう。
それだけに代表でスペースを埋めに走り、パスの壁役として顔を出す彼を見るとかなり切なくなる。

ケンゴもケンゴで、彼は裏へ飛び出したりドリブルで勝負していくタイプではない。
敵陣深い位置へのフィードや、プレッシャーの緩いところからするするっと上がってきてのスルーパスやミドルに最も怖さを感じるタイプじゃないですか?敵として見ているといつもそう思います。2列めは彼の職場ではないとしか思えない。
中国戦に限って言えば遠藤とケンゴは逆の方が良かったんじゃないでしょうか。まぁ今さらな感はあります(4-2-3-1ケンゴシステム)が、このまま遠藤を同じように使い続けると、痛い目にあう気がします。

もっと言えばサイドの大久保。(まぁ他の選手を呼ぶならギリギリだとは思いますけど)彼も決してサイドの選手ではないと思います。とりあえずこの辺でやめておきますねw

代表ではクラブと違うポジションをやることは良くある話ですが、選手それぞれの個性を活かせるものでないのならば何の意味もありません。
例えば三都主が左SBをやっていたのは単純に人材難でした。Jの各クラブで4バックが主流になり、3バックのクラブの方が珍しい今では起こり得ない。

個から組織へ というのがジーコ以後の日本の課題だとすると、今の代表は組織化がされ「すぎている」ように感じます。
ここらへんは残り2試合を見て、もう少し言及する予定です。