3―4―3に関する若干の考察

さて、肝心の3―4―3である。ザックの狙いを考える上でヒントとなるのが、アジアカップ決勝のオーストラリア戦。制空権を握られていた日本は後半に入り岩政を投入し、空中戦で対抗しにかかる。この時のフォーメーションが(いつからだったかをまた確認してから書き直したいが)、3.5―4.5―3くらいになってた気がする。長友を少し高めにする4バックと言うか。
このシステム変更は先程にも言ったように守備の安定が狙いだったであろう。センターバックを3枚配し、ケーヒル+誰か(主にキューウェル)の2人を、3人で見るという狙いがあったように感じた。
また、4バック時の日本はオシム以来、サイドを高く取るために、サイドの裏にスペースが出来やすい。そこから作られると結果センターバックが釣り出され、中が1枚になってしまう。ボランチが戻ると今度はバイタルが空き、セカンドボールを拾えない。このジレンマに上手く対処したのが岡ちゃん最終型である。
南ア大会で日本はディフェンスラインの前に阿部を置き、カバーリングをさせた。これが上手く機能し、守備が安定したのはあえてここで語るまでもない。
基本的にはここから考え方をスタートさせればいい。つまり阿部をDFラインに吸収させ、両SBを上げたら3―4―3のできあがりです。そう考えると、ザックのこの新システムも、そっくり完全に新しいものではないことがわかります。

W杯では守備が機能した反面、得点が奪えませんでした。結果、セットプレーから得点できたデンマーク戦は勝利できましたが、不発だったパラグアイ戦はPKで負けてしまった。世界と戦える守備の上に、得点力をつけるのが今後の課題として提示された訳です。
それを開く鍵としての3―4―3と考えれば、決して攻撃的なフォーメーションという一言では片付けられません。

ペルー戦では結局両サイドが高い位置を取れずに攻撃は停滞しましたが、サイドで数的優位を作って崩していくのが基本線になりそうなので、両サイドのポジショニングに注目です。