カナダ戦
勘違いのないように言っておきますが、別に私はなでしこ嫌いな訳じゃないですよ。
去年のW杯は全試合見てましたし、その前年のアジア大会も極力見ましたし、北京五輪も見てました。
女子には女子の面白さがありますし、なでしこリーグの試合も見たことあります。たまたま触れる暇がなかっただけで。
今後はちょっとずつ触れていきたいです、ハイ。
さて、前回日記で少し言及したが、なでしこは「まずメダルを目指す」というスタンスを変えてはならない。結果的に色が決まる形、挑戦者の意識が重要だ。それを言いたかった。
去年のW杯では、決勝に行くまでロクに扱わなかったテレビが、優勝した途端手のひらを返したのを見ると、なんだかなぁと思ってしまう訳ですよ。
まぁ選手には罪はないですし、「挑戦者の意識〜」なんてのは彼女らが一番承知してると思うので、ハラハラ応援しましょう!
メキシコ戦
素晴らしい試合を見せてくれた。これが本大会であればどんなによかったかという話だが、そこに向けて良い流れができあがったのは間違いない。
本大会は結果が全てである以上、「例え試合を支配されても勝つ」テストが成功したのは大きい。これはJで唯一3連覇を成し遂げている鹿島のサッカーにも通じる所がある。*1勝者のメンタリティとでも言うか。内容を求めるのは予選や国内のテストマッチだけで十分だ。*2
そして何よりもタイプの違う、これまでやったことのないような、「本大会に出るレベルのチーム」が相手であったことに意義がある。若い選手達にとっては、時差や気候、ピッチ等の変化に対応し、慣れないイギリスの地で2試合勝ち切ったということは、メンタルコントロールという点でも大きな意義があった。
これで日本は最高の状態で初戦のスペイン戦を迎えることができると言えよう。
では採点。
7.0:関塚隆監督
前半機能していない部分を後半ある程度修正した。交代選手の2人で得点を取る等、采配も冴えた。
先に述べたように状態は最高なので、あとは監督のさじ加減1つ。この大会で結果を残せば、岡田・西野に並ぶ名将の仲間入りを果たすだろう。
そしてガンバを共に立て直してくれ(笑)
6.0:権田修一
失点シーンは左右どちらにもコースがあったので仕方ない面がある。あの速度であそこに飛ばされたら世界レベルのキーパーでない限りは厳しい。
飛び出しからピンチを招いた場面もあったが、試合を通じてに「キーパーにしてほしいこと」はできていた。
キックについては今さら言わない。
6.5:徳永悠平
本当に安定している。カバーリング、1対1の対応、組み立てでミスらしいミスが無かった。
右SBが酒井ではある以上、バランスが取れる彼が左にいるのは安心感が違う。
「右が詰まり気味だから左からの攻撃も欲しいな」というタイミングでの攻め上がりがもっと増えてくると申し分ない。
7.0:酒井宏樹
このチームではなかなかクロスが結果に結び付かないが、縦への迫力はやはり良い。
持ち味の攻撃参加だけではなく、この試合では守備でも奮闘した。ゴールを決められたファビアンを始めとする相手選手をことごとく吹き飛ばしたり、ハイボールでもほぼ負けなかったりと、非常に精力的に動けている。
このSB2人の評価を見てもわかるように、この試合はサイドから崩されてピンチになるシーンが少なかった。あれだけ攻められたにも関わらず、である。
というかむしろ、あれだけ攻められたのに失点を1で凌げたのは、サイドをあまりやられなかった点が大きい。
真ん中からの攻めは縦を意識すれば良いが、サイド攻撃が絡みだすと左右の意識も必要になるからだ。例えばサイドからクロスが上がり、逆サイドからもう一度折り返すとマークがズレる。*3
メキシコ側の反省点があるとすればそこだろう。この自陣のサイドをどうケアするか、はスペイン*4相手には非常に重要で、彼らは代わる代わるそこに入っては出て行き、仮にチャンスが作れなくてもバイタルにスペースを作ることに成功する。ここがキーであることは間違いない。
6.5:吉田麻也
全体的に安定していた。彼が睨みを効かしている範囲は大丈夫じゃないかな。
6.0:鈴木大輔
攻撃されたと言っても、ピンチは大半がカウンター。ボールを持たれていた中での守備はよくできていたように思う。
5.5:扇原貴宏
やはり調子が上がってこない。短いパスを引っ掻けたり、長い球の精度を欠いたり、失うタイミングも悪い。
山村を軸として置くのは守備面でも不安があり、彼ががんばるしかない。
最も、村松を入れて割りきるというのも策の1つではあるが…。前後は分断するだろうな。
7.0:東慶悟
得点時にあそこに走り込めるのが、彼の最大の武器。あれができればリンクするシャドーとして、大きなプラスをチームにもたらしてくれるだろう。
5.0:宇佐美貴史
西野なら前半途中から代えてるレベル。あ、いや、さすがにそこまではしないか。
関塚監督は試合後に「押し込まれる展開では彼の持ち味が機能しなかった」と庇った。確かにこれまで在籍してきたチームはゲームを支配するチームであることが多く、ボールタッチをしながらリズムを作っていくことができた。この試合で見たように、押し込まれる展開では厳しいのかも知れない。
しかし、それでも「もう少しはできただろう」というのが個人的な感想。ボールを持っても無難な繋ぎに終始。さらにベラルーシ戦よりもロストも目立ち、いったい何してるのアナタ状態。後半頭から齋藤に交代したのは当然であった。失点シーンのカウンターも宇佐美のロストが遠因だったりする。*5
ベラルーシ戦は悪くはなかっただけに、コンディションの問題ではないだろう。奮起に期待したい。
6.0:山口螢
カウンターの起点になりそうな奪取を見せる等、かなり戻ってきた。採点も細かくすれば6.2くらい。
日本チームが引き気味であったため、ケアする範囲が絞られたことも大きかったか。
6.0:清武弘嗣
扇原同様調子が上がってこない。
最近見ていて思ったが、香川・乾・家長・マルチネスらがいなくなり、チームでゲームメイクやチャンスメイクの役割を担うことが多くなったのも遠因かもしれない。
先制点は彼のボール奪取からだったので、結果は残した。
6.0: 永井謙佑
東の得点をアシスト。前からの積極的な守備も好印象。
ボールを自分が持った時が課題だが、この試合は前にスペースがあったこともあり、大きく蹴り出すドリブルでボールを運ぶ等、工夫は見られた。
ゴール前での絡みが出るともっと良くなる。
5.5:齋藤学
宇佐美よりはゲームに入れていたし、持ち味である仕掛けだけでなく、自陣に帰っての守備でも奮闘した。ゴールに向かうプレーを増やしたい。
7.0:大津祐樹
ファインゴールとさすがの演技力。野生児大津。劇団大津。今までの日本代表にはこういうタイプはいなかっただけに見ていて面白い。色んな意味で。
フィジカルコンタクトで負けていなかったことも大きい。体の入れ方は上手かった。
とは言え、真ん中で張ったりするタイプではないので、やはり2列目が生きる。前田(遼一)くらい顔を出せればまた違うが。
6.0:杉本健勇
本来採点できる出場時間ではないが、競り合いが大津の得点につながったので。ここ(上)で主導権を握れるようになるのは大きい。
5.5:山村和也
ボランチで使われるとコンタクトプレーに弱い。やはり360゜を意識しなければならない点でセンターバックとは勝手が違うか。
ボールを持てない展開では厳しい。
酒井高徳
記憶になし。…ごめんね。
しかしスペインってCLでスゴいなって思ったマタがいるのね。こりゃあ楽しみだぞw
前半終了
なかなか面白かった。
青嶋・清水コンビの間でも度々触れられていたが、短いパスで相手を寄せてから、空いた逆サイド深い所へというのが基本の形。右は酒井、左は永井が開いてボールを受けに行く。
ただボールを運べた後も、帰陣の早い相手ディフェンスに阻まれる場面が目立つ。一度真ん中でボールを当てたいのだが、2列目が流動的なこともあり、なかなか良いボールが入らない。ワントップの大津を含む連動性がなく、まだ動きが整理しきれていない印象を受けた。
もう大津を引いてトップレスにしちゃうか?(笑)
まぁ普通に考えれば杉本を入れて軸を作りたいが、テストマッチでどこまでやるかという問題もある。さぁ、どうするかな。
ベラルーシ戦まとめ
途中から出てきた選手も多いので、採点ではなく寸評を。
・関塚隆監督
狙いのハッキリしたテストマッチであった。本大会では交代数に制限があるゆえに勝ちはあくまでもオマケだが、壮行試合で足元を掬われたチームにとっては大きな自信になることは間違いない。
おそらく次のメキシコ戦がスペインを想定した試合になるだろう。スタイルも近い*1相手である。ハナからスペイン戦を捨てずに戦うつもりでないとこのマッチメイクにはならないだろうし、その姿勢は評価したい。結果はともかく。
OAについては後で。
・権田修一
安定したプレーを見せる。今日の試合では何の問題もない。
相手のプレスに押されて苦し紛れにバックパスが来る場面も何度かあったが、危なげない処理を見せた。
これからの成長課題としてはキックの質だろうか。今日出た林のみならず、飯倉や西川と、日本人GKのキックの質もここ5年でまた変わってきた。東口と菅野も時折良いものを見せるしね。高めていけばさらに上を狙えるだろう。
・酒井宏樹
守備では高さが効いた。サイドバックがヘッドで競れるのは本当に楽。
攻撃では高い相手にグラウンダーで狙っていたが、去年のマリノス戦で北嶋に合わせたクロスに度肝を抜かれた私としては、ピンポイントで落とすこともできると思うので、狙っても良かったかと。
良い飛び道具を持っているのは間違いないので、中とのタイミングを擦り合わせていけば。
・吉田麻也
圧巻。こうもチームが変わるのかというくらいの安定感を見せた。
カバーだけでなく、時折アタックも見せており、格の違いを見せた。就活も兼ねていると思われる(だからVVVも出したんだろうな)ので、がんばってもらいましょう
・酒井高徳
宏樹の方が高い位置を取っていたために持ち味の攻め上がりは自重していたが、後半大岩に代わってからはガンガン仕掛けていた。徳永をどちらで使うか次第だが、出番は間違いなくあるだろう。
・鈴木大輔
吉田との初コンビ。カウンターを喰らう場面では相手に行く行かないの判断が怪しい場面もあったが、マヤの操縦もあり、破綻は来していなかったように思う。シュートまで行かれた場面はパスミスをした清武が悪い。
課題は繋ぎ。トラップの置く場所で流れを止めてしまったり、プレッシャーがかかる場面でもたついたりと、拙さが目立った。
・扇原貴宏
どうしちゃったの1人め。
元々彼のゲームメイキングには課題があり、右なら右、左なら左にしかパスを出せない(出さない?)という難がある。遠藤を比較に出すのは酷だが、彼がよくやる「左から右…じゃなくて本当はまた左だよ〜」みたいな作り方がないと一本調子になってしまう。最も今日の試合でもそうであったように、彼の判断に任せるのではなく、チームとしてプランが定まっているなら問題はないが。
気になるのはそこではない。本来彼の長いボールの質は高い。最終予選のアウェイシリア戦で途中交代から見せたプレーに象徴されるように、大きな展開は十分できる力を持っている。関塚監督のチームでは長いボールを蹴れる選手が鍵を握っている。それは川崎フロンターレに日本一質の高いロングボールを蹴る中村憲剛*2がいたことからも明らかだ。
しかしこの試合…に限らずニュージー戦でも、そこの精度に物足りなさを感じる。トゥーロンではかなり頑張っていたこともあり、ここから調子を上げていってもらいたい選手の1人だ。
・永井謙佑
相手に引かれてスペースが無くなったあとにどうするかが今後の課題だろう。徐々にドリブルで突っ掛けられるようにはなってきたが、細かなパス交換や動き直しの質が今一つだった。
最も、本大会ではベラルーシのようなチームばかりではないので、必ず生きる場面は来るだろう。
・宇佐美貴史
狭い所でもボールを失わないキープ力や、キーパーがキャッチできないくらいの質のシュートを枠に飛ばす力はこの世代でも抜けている。
ただ仕掛ける場面よりも周りを使う場面が多かったのは残念。西野監督だったら渇が入ってそうな気がする。
チームとしてのタスクなら一考は必要だが。
しかし彼がキッカーやってるのはU―17以来久々に見たな。ガンバでは遠藤、二川、佐々木の次だったから…。
・山口螢
元々繋ぎというよりは潰し屋としての動きが持ち味のボランチだが、今日の試合では被カウンター時のポジショニングがイマイチ。奪われ方が悪いカウンターが多かったのも確かだが、多少不利な場面でもしばしば止めてきただけに、少々物足りなさを感じた。彼の所で網をかけられると楽なのだが。
・清武弘嗣
どうしちゃったの2人め。
既に何度か触れているように、彼の持ち味は第3の動きだ。足元の技術やキックの質、フィジカルの高さを備えていながら、質の高い動きもできるのが持ち味であって、チャンスメーカーやアタッカーとしては、宇佐美や齋藤と比べた時にむしろ一枚落ちるというのが私の評価だ。
それなのに本来完成されているはずの短いパスが引っ掛かったり繋ぎがスムーズでなかったりと、らしくないプレーが多かっただけに、次に期待したい。
・大津祐樹
永井と同じで、スペースが無いときのプレーの幅に課題が見られた。受ける→はたく→上がるという意図は感じるが、常に動きながらのプレーで精度を欠き、密集地で体を張らざるを得なくなってしまった。こうなると彼の持ち味は出しにくい。
最も、今日の試合なら大迫や原口でも同じであっただろうが。
・東慶悟
動きの質は良い。本当に高い。彼がいるとボールが回る。ザ・リンクマン。
が、決定的な仕事ができない。ラストパスもシュートも本当に惜しい。ザ・リンクマン。
ただ、清武の状態次第では、彼が命運を握ることになる。
・米本拓司
全盛期の明神のような猟犬っぷりが光るクラッシャーで、繋ぎも悪くないだけに怪我がなければ…。
あの前に出てガシガシ行く守備は見ていて気持ちよくもある。
・徳永悠平
ものすごく無難にこなしていた。さすがの一言。本番はどっちでもしっかりこなすだろう。
・山村和也
前半に比べ相手の運動量が落ちていたとはいえ、安定したゲームメイキング。鹿島に行くと本当にサッカーを知ることができるのかも知れない。半年前とは違う選手に見える。
・齋藤学
カモメッシ。今日みたいに相手が引いてくる場面では有効。
・杉本健勇
アジア大会で永井が出ていた頃、彼の下の名前を私は「けんゆう(謙佑)」と呼んでいた。他ならぬこの選手のせいである。
コメントにも書いたが、縦に行けるポストは貴重。指宿は開いて受ける、相手を横に広げるタイプだったが、杉本は縦に引っ張れるタイプだ。
2列目の連動性を活かすなら後者の方が良い訳で、関塚監督はそこまで見ていたのだろう。
あ、もちろんナイスゴール。
・まとめ
宇佐美・ゴートクを除く選手は移動もあり、コンディションが整っていない面もあっただろうが、中でもセレッソ組が際立って不調なのが気になる。
チームも残留争いに片足を突っ込んでいる*3点を見ても、何か乗れてない理由があるのかも知れない。ウチみたいなキャンプ失敗ってこたぁないだろうが。
奮起を祈りたい。
また、今大会はOAの2人が本当に頼もしい。今までの大会と比較してもかなり有効に使えている。ウチがここまで酷くなかったら遠藤も行ってたのかな…。見たかったような…。
まぁこのメンバーでメダルを目指して頑張ってもらいましょう!!
追記。
少々表現・繋がりがおかしかった部分を修正しました。(7月22日)